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【ラドウェザー】蓄光とは違うのだよ、蓄光とは!トリチウムガスチューブ搭載!!ラドウェザーパイロットウォッチについて熱く語る(前編)

みなさん、当ブログをご訪問くださりありがとうございます。

今回は

【ラドウェザー】蓄光とは違うのだよ、蓄光とは!トリチウムガスチューブ搭載!!ラドウェザーパイロットウォッチについて熱く語る(前編)

と題してお送りします。

最後まで読んでいってくださいね。

 

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↑ラドウェザーパイロットウォッチ

1.トリチウムとは

トリチウム」というのは「三重水素」のことです。

通常の水素の原子というのは

 ・陽子1個+電子1個

で構成されています。

 

三重水素の原子というのは

 ・陽子1個+電子1個+中性子2個

からなっています。

 

つまり通常の水素原子に比べ「2個の中性子が余分にくっついている」と思ってください。

 

中性子というのは陽子と同じ程度の質量を持っています。

電子にも質量はありますがその重さは「めちゃくちゃ微量」なので、ここでは電子の質量は無視しますね。

で、水素原子と三重水素原子の「質量」を比べてみましょう。

 ・水素原子=陽子1個 →つまり「陽子1個分」の重さ

 ・三重水素=陽子1個+中性子2個 →つまり「陽子3個分相当」の重さ

となりますよね。

 

「通常の水素原子」に比べて「3倍の重さを持つ水素原子」ということになります。

 

そこでギリシャ語数の数え方である

1=モノ

2=ジ

3=トリ

4=テトラ  ・・・・・

 

から「3」を意味する「トリ」をつけて「トリチウム」というようになったのです。 

 

ちなみに、ジオン公国モビルスーツのメインカメラを「モノアイ」と呼称するのは

 ・カメラが1個=1個の目=モノ・アイ

からきています。

男女2人で歌うことを「デュエット」と言いますがこの英語の「デュ」もギリシャ語の2を表す「ジ」からきています。

楽器のトライアングルって「三角形」をしていますよね。

なので3を意味する「トリ」が語源となって「トライアングル」と言います。

過去に三菱自動車から「トレディア」というセダンが販売されていましたが、コレ、名前を分解すると

 ・トレ+ディア

となりまして

 ・トレ→トリ→3

 ・ディア→ダイア→菱

つまり「3つの菱」となりまして、「三菱」という社名がそのまま車名になった、というお話です。

 

すんみません、脱線しすぎましたね。

元に戻りましょう。

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↑インデックスと長針&短針に埋め込まれているのがトリチウムガスチューブ

 

2.トリチウムガスチューブが自己発光する原理

トリチウムは、上述の通り通常の水素にはない「中性子2個」が余分にぶら下がっているので原子としては「不安定な構造」だと解釈してください。

 

トリチウムはそのままの状態では不安定なので自然界に「永遠に存在することができない」のですね。

 

不安定なものは、時間の経過とともにどうしても安定した構造に「変化」しようとします。

 

コレ、自然の摂理なんですよね。

 ・三重水素「オレ、不安定だわ〜。早く安定した姿になって楽になりたいわ〜」

と言ったところですね。

 

で、その三重水素が目指そうとしている「安定した姿」というのが「ヘリウム3」です。

 

ヘリウム3になってしまうと安定状態になりますので、これ以上の変化というのは起こりません。

 

コレ、もう少し詳しくお話しますとトリチウムがヘリウム3に完全に変化するのに約12年程度かかるんですね。

 

つまり約12年かかって変化が完了する、ってことなんです。

 

トリチウムというのは、専門的な表現で「水素原子の放射性同位体」と言います。

 

この「トリチウム放射性同位体」が「ヘリウム3=安定した構造」に変化するには「β崩壊(ベータ崩壊)」という壊れ方をするんですね。

 

β崩壊というのはその名の通り、崩壊プロセスの時に「β線」を放出します。

 

砕けた言い方をすると

 ・トリチウムは、約12年かけて徐々に壊れてヘリウム3になる。

 ・その間、β線をずっと出しっぱなし。

となります。

 

ここで重要なのは「β線」です。

 

このβ線を「蛍光物質」に当てると、その蛍光物質がβ線によって発光するんです。

 

つまり、トリチウムを「蛍光物質を塗ったガラス管」の中に閉じ込めておくと

 ・ガラス管の中のトリチウムは、約12年かけて徐々に壊れてヘリウム3になる。

 ・その間、β線をずっと出しっぱなし。

 ・ガラス管の内側に塗られた蛍光物質は約12年間β線が当たりっぱなし。

 ・ということは約12年間はガラス管が発光しっぱなし。

ということになります。

 

この仕組みを持ったガラス管を「トリチウムガスチューブ」と言います。

 

この「約12年間は勝手に発光し続けるガラス管」を時計のインデックスや針に埋め込んだものがラドウェザーパイロットウォッチになるんです。

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↑光量は弱いが約12年間休みなく発光し続けている


3.夜間の視認性

夜間における時計の視認性については、何の工夫もなければ「針が見えない」の一言です。

 

で、コレを改善するために各メーカーは様々な工夫を加えています。

 ①夜光塗料を塗る

 ②LEDで文字盤を照らす

 ③ELシートを文字盤の裏に仕込み、文字盤全体を光らせる

 ④トリチウムガスチューブを文字盤や針に埋め込む

と言ったところが代表的な例でしょう。

 

コレらを「明るさ」と言った順に並べると、下記のようになります。(筆者基準)

 ②→③→④→①

 

でも「夜間の視認性」を「暗闇の中で針が読めること」と定義すると、明るさの大小による優位性というのは全く無くなります。

 

要は「夜中に針が読めればいいんじゃね」ってことです。

 

では「夜中に針が読みやすい順」で並べるとどうなるでしょうか?(筆者基準)

 ④→②③(同順)→①

となります。

 

②LEDと③ELバックライトは、確かに④トリチウムガスチューブよりも明るく、トリチウムガスチューブは光量的にどうしても劣ってしまいます。

ですがこの両者には「光量」以外の決定的な違いがります。

 

それは「アクションの差」です。

 

LEDもELバックライトも「スイッチを押す」というアクションが必要なんですね。

 

つまり

 ・時計をはめている手を見る(暗闇なので針が読めない)

 ・もう一方の手を時計に添える

 ・スイッチを押す(これでやっと発光して針が読める)

という動作が必要になります。

 

コレがトリチウムガスチューブであれば

 ・時計をはめている手を見る(インデックスや針が自己発光→すぐに読める)

となるんですね。

 

いちいち残った方の手を動かす必要がないんですよ。

 

時計を見た途端に時間が認識できるんですよ。

 

コレ、私的には結構重宝しております。

 

最近、歳のせいか夜中に目が覚めることが頻繁にあってその都度「今何時かな?あと何時間眠れるのかな?」と思っちゃうんですね。

 

そう言ったときに、時計を見ただけで時刻のわかるトリチウムガスチューブは本当にありがたいんですよね〜。

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↑暗闇の中ではコレでも十分に針が読める。むしろ目をやるだけですぐに判る事がありがたい

 

ちなみに、LED搭載の時計に関しては、一部のモデルに「腕を傾けると自動で点灯する機能」を持ったものがありますので、コレはコレで便利だと思うのですが点灯して欲しくない場合でも腕の傾け具合によって勝手に点灯しますのでそう言った時はいちいちその機能をOFFにしなくてはいけない、ということになりますし、OFFにしたままで寝ちゃうと、夜中に目が覚めたときに役に立たない、というオチがあります。


4.前編のまとめ

今回は

【ラドウェザー】蓄光とは違うのだよ、蓄光とは!トリチウムガスチューブ搭載!!ラドウェザーパイロットウォッチについて熱く語る(前編)

と題してお送りいたしましたが、いかがでしたでしょうか?

 

前編では

 ・トリチウムガスチューブが発光する原理

 ・夜間の視認性の違い(主に「ぱっと見」での利便性)

に注力して解説しました。

 

後編では、いよいよラドウェザーパイロットウォッチの全貌をご紹介しますよ。

ご期待ください。

 

最後になりましたが、トリチウムがβ崩壊を起こす際に放出するβ線について簡単にお話しします。

β線放射線の一種になります。

放射線と聞くと「え?危険じゃないの?」と思われるかもしれませんが、トリチウムから放出されるβ線のエネルギーは「非常に弱い」モノなのです。

具体的には「人間の皮膚を貫通することができない」のです。

なので時計に搭載されるトリチウム程度のエネルギー量では、人体に影響を与えるほどではないので安心だ、と言われています。